松前神楽 神人和楽 三十三神事

松前神楽 其ノ一

沿革

松前神楽は、およそ五百年前に武田氏が蝦夷を平定して十余の豪族を統一し、松前藩の基礎をつくった時にはじまり、代々の当主が蝦夷地開拓の祈りを込め種々の舞や火狂言を社人に舞わせたことが起源であります。
松前藩五代藩主矩廣公の時、松前地方の各神社で行っていた神楽の演技種目を統一し、延宝2年(1674年11月15日)、藩主自ら祭主となり領内の神職を城内本丸槍ノ間に集めて鎮釜湯立式松前神楽を修行したのが城内神楽の始まりで、340年以上前のことです。
以来、隔年ごとに松前城内で行う恒例行事と定め、明治維新の廃藩まで厳修されてきました。廃藩後はこの神楽に参加した社家神職によって受け継がれ、渡島・桧山・後志・留萌・上川の神社を中心に奉奏されております。

神楽初(かぐらそめ)
正神楽(しょうかぐら)・遊拍子(ゆびょうし)
四方拝(しほうはい)
注連脱(しめぬぎ)
四箇散米舞(しかさごまい)
幣帛舞(みてぐらまい)
福田舞(ふくだまい)
鈴上舞(すずあげまい)
二羽散米舞(にわさごまい)
千歳舞(せんざいまい)
翁舞(おきなまい)
三番叟舞(さんばそうまい)
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神楽初(かぐらそめ)
正神楽(しょうかぐら)・遊拍子(ゆびょうし)
四方拝(しほうはい)
注連脱(しめぬぎ)
四箇散米舞(しかさごまい)
幣帛舞(みてぐらまい)
福田舞(ふくだまい)
鈴上舞(すずあげまい)
二羽散米舞(にわさごまい)
千歳舞(せんざいまい)
翁舞(おきなまい)
三番叟舞(さんばそうまい)
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松前神楽の特色としては、神楽そのものが神社祭式の中の儀式として行われており、神楽を行う者がそのお祭りに奉仕している神職自身であり、それゆえに作法に厳格で折り目正しい格調高い神事芸能になっております。湯立の儀式と舞楽を合わせ三十三神事に亘る大神事で、歴代の藩主は神職の必修科目をして奨励したといわれております。
いれずみ判官として有名な遠山金四郎景元の父で、なかなかの楽人であった遠山金四郎景晋が徳川幕府の監察使として松前に渡った時、この松前神楽を見て大いに感動したことが記録されています。
平成30年3月8日 文化財保護法第七十八条の規定により国重要無形民俗文化財として文部化学大臣により指定され、現在に至る。

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松前神楽 演目
神楽初(かぐらそめ)
神様に松前神楽開始のご報告する曲です。
正神楽(しょうかぐら)・遊拍子(ゆびょうし)
湯立神事のなかで奉奏する曲です。
四方拝(しほうはい)
天津祝詞(禊祓詞)を奏上し切麻を撒き四方を祓い清める祓行事です。
注連脱(しめぬぎ)
祓いの厳儀であり、大神事を厳修するときの最も厳格なる行事作法と伝えられております。
四箇散米舞(しかさごまい)
折敷・弓・剣・太刀を持って舞う儀式舞で、当初は三品舞、三種舞と称して弓・剣・太刀の三種で舞っていたが、後に折敷を加えて四品となったので四箇散米舞という。
松前藩時代には平時は襷を右から左へ掛けて舞うが、出陣の時には十文字に掛けて舞う。この舞は露払いの舞で、松前神楽の最初に舞うものであり、本来なら神殿造営に関わる遷座祭や特別な御祭にのみ行うものとされております。
幣帛舞(みてぐらまい)
榊舞(さかきまい)・祝詞舞(のりとまい)ともいう。
その神社の宮司が朝夕玉垣内を参進して、神域を祓い清め神拝して御幣を奉るという、いわゆる神職の神明奉仕の姿と奉幣行事を表した舞です。
福田舞(ふくだまい)
跡祓舞(あとばらいまい)ともいう。四方の神々を拝し、祓い清めて諸々の災いを除き、五穀豊穣を祈る舞です。
鈴上舞(すずあげまい)
巫女舞(みこまい)・乙女舞(おとめまい)ともいう。舞中たびたび鈴を上下するので鈴上といい、鈴と扇をもって舞う優雅な舞で天女が天降るさまを表した舞です。
二羽散米舞(にわさごまい)
庭散米舞(にわさごまい)・鳥名子舞(とりなごまい)ともいう。
鶏は天の岩戸開きに暗黒の世より光明の時を告げ、世の始まりに地を踏み固めた瑞鳥であるとされております。雌雄二羽の鳥形の兜を頭につけ、雄は天を表す瑞雲を、雌は地を表す海の波をかたどり、夫婦が相睦び、相親しみ、和合して世の中が平和であるさまを表し、神の恵みの米を撒き豊葦原千五百秋瑞穂国の五穀豊穣を祝う舞です。
千歳舞(せんざいまい)
百千歳の齢を重ねた老翁が、大君より長寿を祝福され、めでたい文箱を賜ったので、喜びの余りに手の舞、足の踏むところを知らず舞う姿を表したもので、身体強健・寿命長久を祝した舞です。
また、「翁」「三番叟」の御箱開きの舞で、能楽の系統を引いております。
翁舞(おきなまい)
面白く背が高く心やさしい老翁が、額に幾重のしわが寄っても身体壮健で、幾星霜を経る間に身分の高い位にのぼった姿を表し、舞中に願い事を言葉に表し、息災延命・立身出世を祝い福禄寿が備わった最もめでたい舞です。
三番叟舞(さんばそうまい)
背が低く顔が黒い精力絶倫の老翁が、才知多い子孫に恵まれ、今なお健康長寿であることを喜び、腰を屈めながらも元気よく大地を踏みしめ、舞遊ぶ姿を表し、家門隆昌・子孫繁栄を祝福した舞です。

 

 

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