御由緒と御祭神

権現山内浦神社の御由緒

古来より日本人は自然を尊び崇め、自然と共に生き神羅万象に神が宿ると考えてきました。霊峰内浦岳(駒ヶ岳)、天高くそびえる雄大なる活火山を人々は神の御姿と仰ぎ、或いは神々が座す聖域であると敬い信仰されてきました。
権現山内浦神社の創祀は詳らかではありませんが、内浦岳中腹岩窟内に内浦三所大権現として素盞嗚尊・稲田姫命・事代主命を祀られたことが始まりで、永禄年間(1558年~)と伝えられております。
後に文化3年4月22日(1806年)内浦権現社として現在の地に遷座され箱館六箇場所(小安・戸井・尻岸内・尾札部・茅部・野田追)の松前藩祈願所として崇敬されます。

領内に疫病流行・不漁・凶作等に見舞われた際には、六箇場所の安寧を祈願して祭事が執り行われていたことが記録に残されております。明治時代は無格社でしたが昭和15年皇國2600年記念事業として村民一同の悲願である村社指定を願い出で、昭和20年11月1日に村社に列せられる。
平成6年6月30日に社殿を新築し遷座祭を斎行する。現在も内浦岳(駒ヶ岳)・内浦湾(噴火湾)の守護神として篤い崇敬を受け、「内浦権現さま」・「砂原の権現さん」と広く知られております。
例祭日 7月16日 宵宮祭
    7月17日 本祭
月次祭 毎月22日 内浦岳中腹岩窟より遷座された日が22日といわれ祈願祭を斎行しています。

権現山内浦神社の御祭神 素盞嗚尊 稲田姫命 事代主命

素盞嗚尊~大八島國(日本)を生みだされた伊邪那岐命の御子神であり、天照大神・月読命の兄弟神で三貴子と呼ばれ八百万の神々の中でも最も貴い神の一柱です。
神話では八岐大蛇を退治し三種の神器となる草薙神剣を天照大神に献上され地上の国造りの礎を築かれます。のちに子孫大国主命によって国造りが完成し天照大神への國譲りの御業がなされます。
また、須賀の宮にて我が心すがすがしと「八雲立つ 出雲八重垣つまごみに 八重垣つくる その八重垣を」と御心を表した和歌を詠まれました。この歌がわが国最初の三十一字の和歌とされており紀貫之や歌人に歌聖と仰ぎ称されます。
『備後國風土記』には武塔大神の名で現れ、蘇民将来に宿を借りた返礼に疫病が流行したときには「茅の輪」を造り腰につければ、免れることを教えられたと伝えています。夏越の大祓いに行われる茅の輪くぐりや、「蘇民将来之子孫也」の護符をいただき疫病除けをするのは、この故事に基づく信仰です。
国土の開拓神、魔や疫病を祓う荒神であり、学問・芸能の神とも称えられる文武両道に優れたる徳の偉大なる神であります。
事業繁栄・悪魔退散・疫病除け・学問芸能成就・水難除け

稲田姫命~国の乙女の花とうたわれる美しい女神です。出雲神話ではお姿を神聖な櫛に変え素盞嗚尊に寄り添われ八岐大蛇を退治し、夫婦となりまして国造りを支えられます。古来より櫛は魔除けの力があると信じられお守りとされております。豊穣をつかさどる女神であり女性の守護神です。
五穀豊穣・良縁・子宝・安産・夫婦和合

事代主命~大国主命の第一の御子神であり、鯛を手にする大漁満足・商売繁盛・福徳円満の神えびす様と世に知られております。出雲神話の國譲りのお話では父神の大国主命より大変重要な判断を委ねられる、事を知る託宣神であります。また、毎年神無月に全国の神々が出雲にお集まりになる間は留守をあずかる神ともされております。
大漁満足・航海安全・商売繁盛・福徳円満

◆神紋 丸二並ビ柏
稲田姫命が産子山で八嶋士奴美神をお産なさった時、産具を柏の葉で幾重に包み松の葉で綴じて川に流した故事に習い、箱館奉行所・竹内下野守保徳が、権現山内浦神社に柏餅を献じ病気平癒の祈願を行いました。後に平癒報賽のため柏の苗木を献納した由緒により、当社の神紋は「丸二並ビ柏」と伝えられております。また、柏は古来より神聖な木とされておりました。柏の葉は神に捧げる供物の器として神事に使用され、柏手を打つという神拝作法の語源にもなりました。
落葉樹でありますが新芽が芽吹いてから落葉することから、代をつなぐ子孫の絶えない縁起の良い植物とされ、端午の節句には男の子成長と子孫繁栄を祈り柏餅が食されており、柏は当神社の御神木とされております。

◆円空仏
円空上人は寛永9年(1632年)に美濃國(岐阜県)にて出生し、蝦夷地に渡り鉈作りの仏像を権現山内浦神社に奉納したのは寛文6年(1666年)と伝えられております。
当時は内浦岳(駒ヶ岳)の噴火や津波、寛文3年(1663年)有珠山の噴火や大雨など天変地異や天然痘が流行し、さらに東北地方の大飢饉で人々は常に不安の状態の連続でありました。そんな蝦夷地に円空は渡来し二年間で各地に仏像を彫り、衆正救済の為に当神社に観音像を奉納します。
蝦夷地で彫られた円空仏は慈悲に満ち微笑む表情が特徴とされております。
また、詳しく判別は出来ませんが、背に「内浦の嶽に必ず百年の後にあらわれ給う」と記されていると伝えられています。

◆神使 熊
神使とはカミノツカイ・ツカワシメ・ケンゾク等ともいい、諸神の使者であります。
主神の顕現に先立って現れ、主神の意志を知る兆しとしての行動を見せ、多くはその神の縁故あるものといわれます。
古来より内浦三所大権現(素盞嗚尊・稲田姫命・事代主命)がおわします内浦岳は神の聖域と崇められ、多くの動物たちが住みますが中でも人々は蝦夷羆の雄大な姿を恐れ敬い、神の杜を守護する神のお使い眷属であると信じ伝えられてきました。
また、郷土資料の『砂原町沿革史年表』に大工が木を伐りに山に入った際、羆に出会い権現山内浦神社のお守りを見せたところ羆が、そのまま立ち去ったお話が伝えられております。

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